理学部長挨拶
福岡大学理学部は、旧教養部の自然科学部門を基礎にして応用数学科・応用物理学科・化学科の3学科体制で1970年に創立されました。1998年には4番目の学科として生物科学と地球科学と地球物理学を総合した地球圏科学科が増設され、現在は自然科学のほぼ全領域がカバーできるようになっています。学問は 研究が進むにつれて個々の研究領域は細分化される傾向がありますが、その一方で学問的発展によって生じた新たな課題や社会的要請による新たな課題を解決するには、個々の研究領域を超えた総合的な研究も必要にもなってきます。そのため、理学部では学科を越えて共同で教育・研究に取り組んでいるだけでなく、2008年には複合領域の教育・研究を行う文理融合型の社会数理・情報インスティテュートコースとナノスケールの現象を物理学と化学の両面から学び研究するナノサイエンス・インスティテュートコースを設置しました。
理学部の教育研究では、数学を含む自然科学領域の探求を通して社会の発展と福祉に貢献することを目指しています。その実現のために、各学科とも少人数クラスの講義・演習・ゼミナールや実験・実習に力を入れたカリキュラムを構成し、きめ細かな指導を行い、学生は既知の事実と理論を学ぶことができます。最終学年には、ひとりひとりが別々の卒業研究に取り組み、未知の現象の解明や新たな理論の構築を追究しています。このような4年間の学士課程での学修によって、自然現象等を幅広い視野から理解する力や、論理力・分析力・創造力を養い、総合的な視野から知識の活用ができ、豊かな人間性、社会性および国際性を兼ね備えた活力ある人材の育成を目指しています。
理学部 各学科
応用数学科では、構成的かつ体系的に高度な現代数学を学ぶことができます。単なる数学の知識の蓄積にとどまらず、柔軟な発想力、豊かな創造力および論理的な思考力を備え、数学の学修を通して社会人として直面するさまざまな問題の本質を見極め解決する力と国際性を兼ね備えた人材の育成を目指しています。
物理科学科では、物理学とその応用分野の既知の事実と理論を学びます。さらに、物理現象を広い視野から理解し、論理力、分析力、創造力および未知の現象を解明する力を修得し、総合的な視野から知識の活用ができ、豊かな人間性、社会性および国際性を兼ね備えた活力ある人材の育成を目指しています。
化学科には機能性物質の開発を目指す「物質化学系」と分子レベルでの生命現象の解明を目指す「生命化学系」があり、それぞれの専門分野で既知の事実と理論を学びます。両系とも、化学的現象や物質の機能発現の原理を理解し、化学の知識と技術を実社会で活用し、21世紀に国内外で活躍できる活力ある人材の育成を目指しています。
地球圏科学科では、自然科学科目全般にわたって幅広く学んだ後に、地球科学、地球物理学、生物科学のいずれかの分野を専門的に学び、それぞれの分野の多様な現象を広い視野から理解できるように学修します。さらに、未知の現象を解明する力、論理力、分析力、創造力を発揮でき、国内外で活躍できる人材の育成を目指しています。
社会数理・情報インスティテュートコースは、応用数学科のコースです。本コースでは、社会を構成するさまざまシステムの原理を数理モデルで表し、そのような数理モデルを理解・分析する知識を習得し、それを応用してさまざまな問題に立ち向かってイノベーションしていく人材の育成を目指しています。
ナノサイエンス・インスティテュートコースは、物理科学科と化学科が共同で運営するコースです。化学と物理学を横断・融合する学びから、新しい機能をもつ新素材や従来よりも優れた素材の開発などができるナノサイエンスのエキスパートを育成することを目指しています。